世界最高の起業家、イーロン・マスクの挑戦。

「世界最高の起業家」と謳われるイーロン・マスク。彼が挑戦する革新的なプロジェクトを10回に渡り、研究します。

Tesla発の電気自動車、3種類。

これから第5〜7回の前・中・後編に渡って、マスクの2大事業の一角を占める電気自動車企業、「Tesla(テスラ)」(社名は発明家のニコラ・テスラに由来)について述べていく。

その中でも第5回では、テスラの成り立ち、そしてその目指す世界について述べる。

 

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電気自動車企業「Tesla」とは

 

テスラは、電気自動車がガソリン車を超えられることを証明したいと願ったシリコンバレーのエンジニア数名により、2003年に設立されました。テスラの電気自動車は、瞬時に得られるトルク、絶大なパワー、ゼロエミッションを誇る妥協のない車です。世代が新しくなる度に車の価格は下がり、「持続可能なエネルギーへ、世界の移行を加速する」という、テスラのミッションの達成に近づきます。 

 

 と、Teslaのサイトホームページにあるように、当社はマスクが設立した訳ではない。

「持続可能なエネルギーへ、世界の移行を加速する」

という彼自身の夢を実現するために、エバーハード(後にマスクとの衝突で辞任)らの創設したTeslaに投資家として参画し、当社の筆頭株主兼会長職に就いたのである。

 

電気自動車のスポーツカー、「ロードスター

 

当社の最初の製品であるロードスターの開発には莫大な時間を有した。

度重なる実験(コンピュータ技術の進歩により、シミュレーションでの実験も行うことが可能であった)、またベンチャーゆえに可能であった自力での部品生産等の末、電池技術の開発は早い段階で完成したのだが、ボディの形状や機能の面で問題が発生。

こうした設計上のポイントについてマスクの意向は大きく、その結果外観をデザイナーに委託し、2005年4月に実寸大のモデルを完成させた。

2006年には投資家やマスコミの前で試乗会を行い、集まった人々を熱狂させた。

その場で彼は、

 

「これまでの“100%電気自動車”は実にお粗末だった」

 

と述べ、ロードスターへの自信をうかがわせたが、マスクの変更の命令により、プロジェクトの進行は遅れた。彼はとにかく快適性にこだわり、シートやドアに至るまで変更に次ぐ変更を要求したのだ。

 

2007年には従業員数が260人に増え、量産に取り掛かろうとするも、技術、人材等様々な問題が山積し、TeslaもCEOを交代させ、最終的にはマスクの傀儡政権と言えるCEOに指揮をとらせた。マスク自身もスペースXとの掛け持ちで破産寸前まで追い込まれるも、ついに2008年、ロードスター出荷にこぎつけた。

 

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ロードスターは、リチウムイオン バッテリーを搭載し、1回の充電で最長394 kmの航続距離と3.9秒で時速100 kmまで加速する加速性能で、EVの新基準を確立。日本円で1,000万以上の価格であったのにも関わらず、当社は2,400台以上のこのスポーツカーを30カ国以上の国々で販売した。

 

世界初のEVセダン、「Model S」

当社は2012年には、世界初のプレミアムEVセダンであるModel Sを発売。

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100%電気自動車となるようゼロから開発されたModel Sは、4ドア自動車のすべてのコンセプトを覆した。
  • 7人が乗れるスペース
  • 1,800リッター超の荷室容量
  • 最大航続距離500km以上
  • ファミリーセダンの快適さと利便性
  • 約5秒で時速100 kmまで加速
という特徴を持つ。しかもその後、量産型EVとしては初めて連続航続距離1,000kmを達成したことを、当車のオーナーズクラブである「テスラ・オーナーズ・イタリア」が発表した。これは当社が公開していた500kmという航続距離を大きく上回る数字だ。具体的にはModel Sは、たった1度の充電で1,078kmを走行することに成功したそう。
当時の日本を代表するEV車であった「日産リーフ(30kWhモデル)」ですら、最長航続距離が280kmであることを踏まえるとその凄まじさがわかる。
バッテリーパックはシャシーと一体化して乗車スペースの下に位置するため、車の重心が下がり卓越したロードホールディングとハンドリングを可能にした。
Model Sは米モータートレンド誌の2013年カーオブザイヤーに選ばれ、米国家道路交通安全局による安全性試験で5つ星評価を獲得している。
価格は当初発表されていたベースモデルが5000ドル安くなり6万9500ドルからの販売に。
価格が安くなる背景には、 TeslaがModel Sの60kWhモデルの製造の中止がある。
60kWhモデルの製造を中止し、残りの在庫のみの販売に絞ることで価格改定が実現した。

「Model X」

Model Xは当社としては3車種目となる電気自動車。高機能なSUVを目指して開発されたModel Xは、同社の人気セダン、Model Sと同じシャシーを採用することで低重心化に成功している。

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全長5mを超える大型SUVとなり、7名の乗車定員に加えて豊富な収納スペースが確保されている。Model Xは全モデルでAWD方式の駆動方式を採用し、前後それぞれに搭載されたモーターがホイールを駆動させる。前後モーター合計の出力は470馬力となり、EV車では困難とされていた牽引も実現可能となった、ハイパワーなSUVだ。

2017年1月には新グレード「100D」が追加され、航続可能距離をさらに伸ばしながらも販売価格を引き下げられている。

テスラ モデルXにはルーディクラスと呼ばれる加速モードが搭載。0‐96km/h加速は2.9秒の驚異的な加速性能を持たらしています。またバッテリーも蓄電容量が100kWhへと容量アップしました。このバッテリーの容量アップによって、最大航続可能距離が542kmとなることが予想されています。最高速度は時速250km。

特徴的なのは何と言っても後部座席に採用されたファルコンウィング。ファルコンウィングがSUVに採用されるのは非常に珍しい。

通常のドアでは乗り込むことが困難な狭いスペースでも、これによって2、3列目シートに簡単に乗り込むことが可能になる。

価格に関して、Model Xには75kWh、90kWh、100kWhの3種類のバッテリーサイズが用意され、価格は約980万円~1611万円となっている。また予約には別途50万円が必要。
また、「Model S」と「Model X」にソフトウェアアップデート8.0を配信され、パネルの操作性が格段にアップ。また、子供やペット向けの新しい安全機能としてオーバーヒートプロテクション機能が実装された。パネル面では、メディアプレーヤー・音声コントロール・ナビがグレードアップ。また、子供やお年寄り・ペットに対しての安全機能として、車内を適度な気温に保つことができるキャビンオーバーヒートプロテクションを実装した。これに加え、車両周辺の情報を3Dで再現することが可能になり、渋滞時でも快適に走行できるように自動運転機能が調節される機能も追加された。そのため、前方を走るクルマ2台分を見通すことも可能に。
そして今年の7月28日にはついに当社の新モデル、Model 3が発売された。のだが、それについては次回取り扱うことにする。

充電設備

充電に関してだが、オーナーは車を自宅で充電できるため、ガソリンスタンドへ行く必要もなければガソリンに1銭足りとも使う必要もない。長距離ドライブでは最速20分でバッテリーを半分まで充電することができるスーパーチャージャーネットワークを一定量無料で利用できるが、現時点で日本においては十数か所しかないのがネックとなっている。世界全体としては、北米、ヨーロッパ、そしてアジア太平洋地域の人気のルートを繋いでいるという状況だ。

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テスラの自動車は、カリフォルニア州フリーモントにある工場で生産されている。この工場は以前、トヨタゼネラルモーターズ合弁会社NUMMIが使用していた(今こそ解消されてしまったが、以前トヨタとテスラは技術提携の約束をしていた)。この工場では毎週2,000台の車を生産することが可能。

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工場の外観

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工場内での製造の様子

テスラはただの自動車メーカーではありません。エネルギー イノベーションに力を注ぐ、テクノロジー会社であり、デザイン会社でもあります。
とホームページに記載がある通り、Teslaは持続可能なエネルギー開発に向けてあらゆる分野からアプローチし、それを実現しようとしているのだ。

 次回予告

「Tesla」記事の中編となる次回は、7月28日に納入されたTeslaの新製品「Model 3」の特徴と、その課題について見ていく。
 

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