マスクの「持続可能なエネルギー開発」を叶える会社。
今回は、イーロン・マスクの夢である
「持続可能なエネルギーの開発」
を叶えるために設立された、「Solar City(ソーラーシティ)」のプロジェクトについて2回に渡り、見ていきたいと思う。
今回はSolarCityとは、またTeslaが新しく立ち上げた「Tesla Energy」とはどういう会社で、何を行なっているのかといういわば導入部分について述べていきたい。
写真:Solar City
Solar Cityとは
当社はマスクのアイディアをベースに、彼のいとこにあたるライブ兄弟が2006年にシリコンバレーで立ち上げた会社である。ちなみにこのライブ兄弟、Solar City を立ち上げる以前に顧客のコンピュータシステムを遠隔管理し、アプリケーションのアップデートといった作業を自動化するソフトを開発。そのソフトを核としてエバードリームというベンチャーを立ち上げていた。ある時マスクに「太陽光エネルギー市場は参入するにはおすすめの分野だ」と教えられ、当時消費者が利用するには膨大な知識やお金が必要だったソーラービジネスをもっと単純明快にしようと立ち上げたのが Solar Cityというわけだ。
Solar Cityが他社と違うのは、ソーラーパネルは自社生産せず、それ以外を自前で対応するということだった。具体的には、顧客の電気料金や自宅の位置、日照条件を分析し、ソーラーパネルの導入が割に合うかどうかを判定することのできるソフトを開発したり、パネルの設置も専門のチームを立ち上げて担当したりした。
さらに画期的だったのはそのビジネスモデルだ。
通常日本で一戸建ての家に太陽光発電システムを導入しようとすると、初期費用で130~200万円程度の費用がかかるようだが、SolarCityは「初期費用タダ」というビジネスモデルを提供している。
大手銀行とのパートナーシップと、Googleからの投資($280M)により、初期費用が普及の足かせとなっていた太陽光発電システムを、「初期費用無料で月額利用料を支払う」モデルに切り替えたのだ。これにより消費者にとっては負担が減るうえ、値上げの続く電気料金に悩む必要もない。引越しの際は次の住人に引き継ぐことも可能で、リース終了後は新しいパネルに切り替えることもできるのだ。
このモデル作りにアドバイスしたマスクは同社の会長兼筆頭株主に就任。Tesla、SpaceXに次ぐ三番目の会社となったのだ。その6年後、Solar Cityは全米最大のソーラパネル設置会社に成長した。新規株式公開を果たすとその株価はうなぎのぼりに上昇し、2014年には時価総額が70億ドル近くまでに達した。
その年の6月には太陽電池メーカーのシレボを2億ドルで買収。以後Solar Cityはパネルの外注を終了した。一般的なパネルの太陽光を電力に変える変換効率は14.5%だったのに対し、シレボは18.5%もあったのだ。しかし顧客の増加によりパネルの消費量が増えると、安定供給と低価格化が課題となった。
Tesla Energyの立ち上げ
そんな中、マスクは新しくTeslaから「Tesla Energy(テスラ エナジー)」というバッテリー事業を立ち上げ、2015年4月末に驚きの家庭用蓄電池を発表した。
その名も
「Powerwall(パワーウォール)」
という製品だ。
個人宅でこの500ドルのPowerwallを導入すると、太陽光発電もしくは深夜の電気料金が安価な時間帯に電気を充電することができ、光熱費を削減できるとするもの。ちなみにこの500ドルという価格は市場価格の半額以下という驚異的な低価格を実現したものだったのだ。
さらに目を見張るなはそのデザインである。
通常の家庭用蓄電池だと床置きがほとんどで、かさばる形状のものばかりであったが、
powerwallは壁に取り付けられ、しかもコンパクトである。
写真:共にTesla HP
さらに、同年にはネバダの山奥にある巨大工場 Gigafactoryも稼働を始め、Tesla Energy製品の本格的な製造がすでに開始している。
写真: Gigafactory
また法人向けにも「Powerpack(パワーパック)」 というバッテリーを販売している。
写真:Tesla HP
これによってマスクは発電システムのSolarCity、蓄電システムのTeslaEnergyと異なる会社を同時に担当することになったのだ。
次回予告
前編は導入なので多少文章が短くなってしまったが、後編でカバーしているのでご安心を。次回はSolarCityの買収、そしてマスクの目指す新しい世界の実現に向けた動きを詳しく説明する。
それではまた。
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